一般区分所有者からのメール無料相談の件。理事長に大規模修繕工事の関係書類の謄写を拒否されました。

投稿日:2018年01月28日 作成者:福井英樹 (64 ヒット)

 小職の無料相談メールで、ある管理組合の一般区分所有者から「理事長から2018年1月に完了した大規模修繕工事の工事関連図面等関係書類のスマホ撮影を拒否されている。『規約でも定めている通り、閲覧は出来るが、撮影はダメ!』といわれている。どうも不適切コンサル業者の疑いがあり、専門家にも相談したいので、コピーを精査してもらいたいのです。何とかならないものでしょうか?規約を変更しなければ、チェックできないのでしょうか?」との相談を受けました。投稿者の許可を下に紹介させていただきます。
 マンション管理適正化法4条1項及び同適正化指針によれば、
「管理組合の管理者は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、区分所有者等の請求があった時はこれを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。」と明記されています。
 「コンメンタールマンション標準管規約」評論社刊では
管理組合は、利害関係者からの求めがあれば、その者に対する管理業務の遂行状況に関して報告義務の履行ととして、業務時間内において、その保管している総会議事録、理事会議事録、会計帳簿及び什器備品台帳等を、その保管場所又は適切な場所において、閲覧に供する義務を負うということになっております。但し、コピー等の謄写権については、否定的でした。 
 しかしながら、マンション管理新聞にも掲載されましたが、平成28年12月9日大阪高等裁判所の判決は謄写権を認容しました。
規約に閲覧が認められていない文書でも、正当な理由がある場合は、閲覧・謄写、さらに写真撮影までも認められるとしています。 
 正当な理由とは、管理組合業務に不正等の疑いがある場合などは、組合員がチェック機能を果たすことは重要なことであるという理由により、管理組合文書の閲覧・謄写請求が認められたのです。
 裁判所は、マンション管理組合と区分所有者との間には、前者を敷地及び共用部分の管理に関する受任者とし、後者をその委任者とする準委任契約が締結された場合と類似の法律関係、つまり、民法の委任に関する規定を類推適用すべきであるということを認定し、これを排除すべき特段の理由のない限り、民法645条の規定が類推適用されると解するのが相当であると判断しました。
 また、裁判所は、「少なくとも、閲覧対象文書を閲覧するに当たり、閲覧を求めた組合員が閲覧対象文書の写真撮影を行うことに正当な特段の支障がない限り、管理組合は報告義務の履行として、写真撮影を許容する義務を負うと解される。」と判断しています。
 従いまして、当該文書を外部に持ち出したりしての謄写は認めていませんが、スマホによって、その場で撮影する限り、当該写真撮影は、許容の範囲内と思われます。
 ただし、組合員名簿等は適用外とすべきであることはいうまでもありません。

専用使用権分譲の駐車場使用料1500円から2万6000円への値上げは「相当」 判例時報 マンション管理新聞第1060号から

投稿日:2018年01月21日 作成者:福井英樹 (53 ヒット)

<判例時報2347号>
 駐車場専用使用権が分譲された築40年超のマンションで、1500円だった使用料を約1万3000円~2万6000円に値上げする総会決議を行った管理組合が、値上げ分の支払いを拒んだ区分所有者3人に決議の有効確認と、使用料値上げ分に加え弁護士費用の支払いを求めた事件の判決がおととし、東京地裁であった。阿保賢祐裁判官は、弁護士費用約21万円を含め、管理組合の請求をほぼ全額認めている。
 判決はおととし9月15日付。双方は控訴せず、確定している。
 マンションは1973年入居。裁判で問題となった駐車場専用使用権は3台分で、屋内120万円、屋外80万円で分譲されていた。当初使用料は無料だったが、築23年の96年ごろに月額100円に有償化。2008年に同1500円に改定し、11年には月額1万3000円~2万6000円に改定する総会決議を行った。駐車場部分の固定資産税・都市計画税や面積割合に応じた管理費・修繕積立金は購入者が支払う契約になっていたが、実際には支払われてこなかった。
 裁判では1998年10月30日の最高裁判決が示した判断基準を踏襲。「増額の必要性・合理性が認められ、かつ増額された使用料が社会通念上相当な額」かどうかが争点になった。
 阿保裁判官は、駐車場の分譲価格が住戸価格とは無関係に定められたものであった点や、約30年前まで賃貸に出されていた時の賃借料が6000~2万円程度で、総会決議時点では月額2万5000円程度の使用料が設定された近隣駐車場もあった点などを考慮。
 駐車部分の塗装作業や漏水部分への対応が行われており、今後マンション老朽化に伴い支出費の増大が見込まれる、すでに専用使用権を購入するに支払った対価に応じた使用利益を十分に得ているなどの点から「値上げには必要性・合理性があり、増額された使用料も社会通念上相当」だと判断した。
以上マン管新聞第1060号より。
従来からの以下の最高裁判例を踏襲。
以下「コンメンタールマンション標準管理規約」評論社より。
 分譲業者との間で駐車場専用使用権の設定がある場合、分譲業者がその敷地(区分所有者の共有)内に駐車場を設けてこれを一部の特定の区分所有者のみに分譲する販売方式がとられ、それを前提とした規約が設けられている場合がある。このような場合には、共有する敷地をめぐって、その専用使用者と管理組合との間に紛争が生じることがある。これまでに管理組合の駐車場専用使用権の消滅決議や使用料の有償化または増額決議などについての判例が存在する。最高裁は、前者に関し管理組合の集会での消滅決議については、同事案における駐車場専用使用権の消滅は区分所有法第31条1項にいう「特別の影響」に該当するとして駐車場専用使用権者である区分所有者の承諾を得ない決議は無効であるとし、後者については、管理組合は規約又は集会決議をもって専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を定めまたは増額をすることはできるが、その額が社会通念上相当な額を超えるときは「特別の影響」を及ぼすとして専用使用権者の承諾を要するとした(高島平マンション事件=最判平10・11・20、シャルマンコーポ博多事件=最判平10・10・30)。以上、「コンメンタールマンション標準管理規約」評論社刊より。

 上記高島平マンション事件では、「特別の影響」を及ぼすべき時とは、規約変更の必要性及び合理性と、一部の区分所有者が受ける不利益とを比較考量し、その不利益が受忍度を超える場合をいうとされました。そのうえで、当該区分所有者の専用使用権の消滅による不利益は受忍度を超え、その承諾が必要であると判断されたわけですが、平成14年に区分所有法が改正され、区分所有法第30条第3項では、区分所有者間の衡平が図られるように定めなければならないとされました。この条文の趣旨からすれば、今後は、独占的な使用権者の承諾の必要性の判断は極めて狭められていくものと推測されます。

「民泊」、「特区民泊」対策だけではダメ!暴力団対策は?宗教団体対策は?

投稿日:2018年01月18日 作成者:福井英樹 (66 ヒット)

民泊禁止を希望する複合用途型マンション管理組合から相談を受け、以下のように改正助言を実施。

民泊禁止対策については、国交省や内閣府から通達があり、マンション管理業界、各管理組合で、規約改正の意識が高くなってきてはおりますが、従前から問題となっている暴力団対策についての具体的かつ詳細な対策についての指導はなされていません。
以下の暴力団対策、宗教団体対策条文は「コンメンタール標準管理規約」評論社刊を参考に小職が関与する複数の管理組合で過去において採用した条文です。
当該マンションは、特区民泊の区域ではありませんが、近い将来「民泊特区」に指定されることも考えられるため、前もって、念のため、当該禁止条項を入れておくこと、並びに暴力団等や悪質宗教団体等の対策条文も具体的に組み入れておくことも助言いたしました。
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に使用してはならない。
2.区分所有者は、専有部分を他の区分所有者等に迷惑となるような営業形態、営業行為、風俗営業を行ってはならない。
3.区分所有者等は、専有分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届け出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
4. 区分所有者等は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。
5.前項にかかわらず、住戸部分を小規模な事務所兼用住宅等の居住環境を阻害しない程度の用途に供するもので、苦情等が生じないものであれば可とする。
6.区分所有者等は、店舗部分を専ら店舗として使用するものとし、他の用途に供してはならない。また、その部分における営業に関して、関係法規および他の関連団体等の規定に従わなければならない。なお、屋外看板標識等を掲出する際は、その形式、仕様、取り付け場所等について理事会の承認を得なければならない。
7.専有部分の仕様において、次に掲げる用途に供することは、いかなる状況においても許されない。
消費者金融、手形割引等の金融業事業所、暴力団事務所、政治結社事務所、宗教団体の事務所又は施設、風俗営業、その他良好な居住環境を阻害する用途。
8.区分所有者は、その専有部分を譲渡または貸与する場合、次の事項を遵守しなければならない。
(1)暴力団事務所の用に供されることを知って、当該に係わる契約をしてはならない。
(2)譲渡等に係わる契約の締結前に、当該契約の相手方に対し、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認しなければならない。
(3)譲渡等に係わる契約において、契約の相手方は当該専有部分を暴力団事務所の用に供してはならない旨を定めなければならない。
9.区分所有者は、その専有部分を譲渡する場合、その譲受人が、下記団体およびその構成員等であることが判明した場合、何ら通告を要せずに当該売買契約を解除することができる旨を明記した売買契約を取り交わさなければならない。
(1)「暴力団による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第2項に定義される暴力団、その他構成員等が運営を支配する法人その他団体、若しくはこれらと取引のある法人その他団体。
(2)「無差別大量殺人行為を行った団体の規定に関する法律」に基づき処分を受けた団体、その構成員等が運営を支配する法人その他団体、若しくはこれらと取引のある法人その他団体。
(3)「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」に定める犯罪収益等を隠匿・収受したり、それらの疑いのある団体、その構成員等が運営を支配する法人その他団体、若しくはこれらと取引のある法人その他の団体。
10.区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合、借受人が、前項に記載された団体およびその構成員等であることが判明した場合、当該賃貸借契約は解除となり、借受人は本物件を明け渡さなければならない旨を明記した賃貸借契約書を取り交わさなければならない。

当該規約改正が有効となるか無効となるかは一部議論の余地があり、特に各区分所有者の区分所有権の処分方法についてまで、規約で規制できるかが、専門家の議論対象となります。
区分所有法第60条の適用となるためには、
「何かチンピラ風なものが出入りしている。」「何か怪しげな宗教団体のような服装のものがいる。」というだけでは、区分所有法第60条が認められることはなく、暴力団や教団の危険性、反社会性等を客観的に証明することが必要です。単に専有部分を個人的に住居として使用しているのではなく、暴力団や教団施設として使用されていることが証明され、当該施設として、使用されていることにより、平穏な生活を受忍限度を超えて侵害するものであり、その侵害を除去する為には賃借人である暴力団員や信者らを退去させる以外に方法がないという程度にまで至っていることが必要です。
そのためには、管理組合としては、暴力団員や信者の出入り状況、廊下等で大声や奇声をあげることや、施設内での騒音、違法駐車の有無等による実際の実害の発生と、他の区分所有者の平穏な生活を害している実情について、証拠を集めて記録化するなど、周到な準備が必要となります。
そのためにも、上記のように規約を改正しておくことが、少なくとも裁判になった際の裁判官の心証に管理組合側へのプラスの影響をもたらすものと推測されます。

最近の不適切コンサル等の相談から派生して、ハード面での瑕疵等の損害賠償責任追及の具体的方法について    福井英樹マンション管理士総合事務所

投稿日:2018年01月17日 作成者:福井英樹 (61 ヒット)

今、巷を騒がせている不適切コンサルの相談に派生して、当該バックマージン等の不透明な金銭の利益相反の問題とは別に、ハード面での竣工図面と実際の建物とのかい離についての相談を受けました。
一般的に、欠陥は、設計瑕疵と施工瑕疵にわけられ、設計瑕疵は設計自体が建築基準法に違反しているような場合で、構造計算書偽造による耐震強度偽装事件等、記憶に新しいところです。また、地盤の強度等を勘違いでとらえ、必要な地盤改良を不要とする設計をしていた錯誤のような場合も設計瑕疵となります。
施工瑕疵は、設計図書通りの施工が実施されていないケースです。
そもそも分譲にあたっては、大半の分譲業者が「アフターサービス基準書」を示しており、これは所定の不都合が生じた場合に、分譲業者が無償で補修を実施する基準を定めたもので、欠陥や瑕疵に該当するか等を問題にする必要がなく、契約上の責任であり、その対象や期間等も様々です。
一般に、隠れた瑕疵があれば、売主に対し、民法第566条や第570条に基づき、瑕疵担保責任を追及することができます。また、「住宅瑕疵担保責任保険」に加入している場合は、当該分譲業者が万が一、倒産していても、保険法人に対して直接に費用を請求できます。
なお、民法上の瑕疵担保責任は、瑕疵を知った時から1年とされていますが、一方、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では、「構造耐力上主要な部分」または「雨水の侵入を防止する部分」として政令で定めるものの瑕疵については10年間瑕疵担保責任を負うものとされています。
さらに、もともと、建設会社や建築士等は、故意による手抜き工事でなくても、基本的な安全性を損なう瑕疵等が発見された場合には、原則として、不法責任を負う無過失責任となっています。そして、当該不法行為による損害賠償請求権は、当該損害ならびに加害者を知った時から3年間で民法第724条により時効消滅しますので、内容証明便等で相手方に意思表示を明確にしておくだけでなく、訴訟を提起するなど、裁判上の請求をする必要があると一般的にはいわれています。しかしながら、実際上は、欠陥の存在を知って、販売会社に請求すれば、この期間制限は問題にならない場合が多いと思われます。ただ、時効が目前に迫っているような場合には、請求の事実を明確にするという意味でも請求の事実を公にしておくという意味では内容証明郵便は最低限必要だと思われます。
そもそも瑕疵担保責任とは、それぞれ性質の異なった責任であり、全ての欠陥マンションに同じように当てはまることはなく、どのような責任追及が可能なのか弁護士等の専門家に相談する必要があるかと思われます。

最高裁判例トピック 「専有設備の一体的改修OK」積立金で工事実施

投稿日:2018年01月03日 作成者:福井英樹 (127 ヒット)

マンション管理新聞第1058号より
 共用部分と構造上一体で管理に影響を及ぼす部分の修繕に修繕積立金を充当できる旨改定した管理規約に基づき、専有部分を含む給排水管・ガス管の更新に加え、浴室、トイレ、給湯機、洗濯パンといった設備交換や新設を、修繕積立金を充当して実施した管理組合に対し、区分所有者2人が管理規約の改正や工事を決めた総会決議無効を求めた裁判の上告審で最高裁は9月14日付けで上告不受理を決定した。区分所有者の請求を棄却した今年3月の東京高裁判決が確定した。

 裁判資料によれば、事件の舞台は今年で築50年を迎えた神奈川県のマンション。
 管理組合は2012年、管理規約を改正し「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分および共用部分の管理上影響を及ぼす部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」とする規定を新設。同規定を修繕積立金の用途に加える改正も行った。

 その後専有部分を含めた給排水管・ガス管の更新に加え、トイレの交換、浴槽のユニットバス化と、それに伴う給湯機の設置、洗濯パンを新設するなどの内容の工事実施を決議した。工事金額は5億9745万円。

 自費で先行して専有部分の工事をしていた区分所有者の一部は同年、総会決議の無効を求めて提訴。工事は13年4月末ごろまでに9割超の住戸で完了した。

 裁判では、規約改正や工事の実施が区分所有法30条3項の「区分所有者間の利害の衡平」を著しく害しているか、区分所有法31条の「特別の影響」に当たるか、などが主な争点になった。

 区分所有者側は「配管の更新と浴室・トイレなどの専有部分の設備工事を一体化して行う必要はない」とした上で、総会決議は専有部分工事に修繕積立金を充てるもので、既に工事を実施している区分所有者との間に不均衡が生じるとし、区分所有法30条3項に違反し無効だと主張。

 規約改正で、先行して工事を実施した区分所有者はせっかく設置した設備を取り壊され「質が劣った設備を取り付けられる不利益を被る」とし、工事で特別の影響を受けるが不利益を被る区分所有者の承諾はない、と訴えた。

 また、「設備は配管と構造上一体となった部分ではない」とし、仮に規約改正が有効だったとしても、工事は規約に違反する、との主張も展開した。

 昨年9月30日の一審・横浜地裁判決(大竹優子裁判長)は、区分所有者側の請求を棄却した。
 区分所有者間の利害の衡平について大竹裁判長は、「工事に先だって浴室・トイレなどの設備を自費で更新した者と、工事によって修繕積立金で設備の更新を行った者との間に不均衡が生じる可能性は否定できない」と言及。

 ただ、管理組合が、既に設備を交換していた区分所有者らに、設備をそのまま使う場合は設備の復旧工事代金を減額しているなどの対応を取っている点から、工事の必要性および合理性と、先行して工事を実施した者が受ける不利益を比較し「決議の無効をもたらすほどの不公平が生じているということはできない」と判断した。

 特別の影響については規約変更で生じる影響は「全ての区分所有者に公平に及ぶものである」として、個別の承諾は不要とした。

 規約違反の有無については、浴室やトイレは専有部分の配管を介して共用部の配管に接続されていることや、配管類の更新に伴い、浴槽やトイレを撤去して防水工事が必要であったこと、ユニットバス化した方が工期や戸当たり費用を圧縮できること、漏水の危険性があったことなどを踏まえ「共用部分の給排水管・ガス管を改修するために必要であり、かつ、合理的な工事方法」と一体管理の必要性を認めた。同様にユニットバス化に伴う給湯機等の設置も認定した。

 洗濯パンは、洗面所内に洗濯機を設置する区分所有者が増えたことで排水が洗面所内に流れて下階に漏水する事故が散見されていた事態を考慮し「共用部分の管理と関連し、一体として行う必要があると認められる」と判断した。

 今年(2017年)3月15日のニ審・東京高裁判決(川神裕裁判長)も一審判決を支持。同マンションで「管理の方法として給排水管等と浴室設備等およびその付属設備とを一括して更新することには必要性および合理性があるというべきである」と判断し、区分所有者側の請求を棄却した。

 この判決では、専有部分の配管だけでなく、配管と直接つながる設備についても管理組合による「一体管理」を認め、修繕積立金による工事を認めた。一体的管理を行う必要性・合理性があった、と判断されたからだ。先行して工事を実施していた区分所有者に対し、一定のアドバンテージを設けるなど管理組合が配慮を行っていた点も評価された。
 
以上、マンション管理新聞第1058号より。

コンメンタールマンション標準管理規約等でも配管等の一体管理の合理性については明言していますが、今回の判断では専有部分のユニットバス等の設備も修繕積立金で充当することを最高裁が認めたことが斬新で、今後の判断に少なからず影響を及ぼすことになりそうです。

維持管理を共用部分から専有部分まで拡大して考える理由として、維持管理の目的は、居住者が安心、安全、快適に生活する為に機器を設置し、その設備の機能・性能を継続的に使いこなすことであるが、
設備機器の機能が高度化してきており、取り扱いが複雑で操作できないことや使っているうちに部品が劣化してきて、メンテナンスができなくなり、しかも居住者が高齢化してきて、居住者からの緊急対応要請が頻繁に各管理組合で起こっているようです。
また、排水管洗浄業務は専有部分設備不具合チェックの唯一の機会であり、居住者と年1回のコミュニケーションを取れる機会でもあり、排水管洗浄時に各設備の漏水確認を行うことのできる絶好の機会となります。すなわち、緊急漏水事故・機器故障の予防保全につなげることができるのです。
例えば、台所でいえば、排水のトラップ枝管のオーバーフロー管の劣化による漏水、洗面ユニットでいえば、トラップ止水栓の止水装置が劣化していたり、この判例のように洗濯防水パンの排水に関して、大型ドラム式洗濯機の設置不可・トラップが取り外しの不可・ホースがトラップに固定不能等、さらに、浴室の場合は、トラップの排水口のパッキン劣化による臭気漏れ等、今後、ますます、共用部との一体管理の必要性が高まってきていることはまちがいありません。

マンション管理新聞第1059号 2017年12月18日最高裁判断「理事会決議で解任可能」

投稿日:2018年01月02日 作成者:福井英樹 (50 ヒット)

 管理組合の理事長を理事会役員の多数決で解任できるかどうかが争われた訴訟の上告審で最高裁第一小法定(大谷直人裁判長)は12月18日、解任を認めなかった2016年10月4日の福岡高裁判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻すよう命じる判決を言い渡した。大谷裁判長は「理事を組合員のうちから総会で選任し」、「互選により理事長を選任する」などと定められた管理規約がある場合、「理事の過半数の一致により理事長職を解くことができると解するのが相当」だとする判断を示した。規約条文が「マンション標準管理規約」に準拠しているケースでは、理事長職は理事会役員の多数決で解任できる、とする解釈が初めて示された。
 判決は裁判官5人の全員一致。
大谷裁判長は、区分所有法3条・25条1項の定めから、まず「区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否かおよびその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねている」と言及。
 その上で「理事長は区分所有法上の管理者とする」「役員である理事には理事長も含まれる」「役人の選任・解任を総会決議で決める」「理事は組合員から総会で選任し、その互選で理事長を選任する」と定められた管理規約に着目。条文の趣旨を「理事長を理事が就く役職の一つと位置付けた上、理事に対し、原則として互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねる者」と解釈した。
 このため、理事の互選で役職を決める規定がある場合は、「理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨」と考えられるのが、「規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべき」と結論付けた。
 理事長の解任を巡るトラブルが起きたのは福岡県久留米市のマンション。13年1月の設立総会で役員に、2ヶ月後の理事会で理事長に選任されたが、その半年後の理事会で管理会社の変更を議題とする臨時総会の開催を主張、独断で総会の招集を通知したため、その後の理事会で職を解かれた元理事長が原告。
解任決議にはこの元理事長を除く役人14人のうち、10人が賛成した。
 翌年の総会では役員も解任されたため、元理事長は一連の理事会・総会決議の無効確認を求めて提訴。16年3月の福岡地裁小倉支部判決は元理事長の主張を認め、元理事長を解任した理事会決議を無効だと判断。このため、その後の理事長が招集した総会は結果的に「権限がない者」が招集した総会だとされ、また手続きに瑕疵があったなどとして元理事長の解任を確認した総会なども無効だと結論付けた。10月の福岡高裁判決も地裁判決を追認した。
 高裁判決では「いったん選任された役員を理事会決議で解任することは予定されていない」と判断していた。
 この日の最高裁判所判決は、原審が認定した総会・理事会の無効判断について法令違反を認め、理事会手続きの瑕疵の有無などについて審理を福岡高裁に差し戻した。

以上、マンション管理新聞第1059号より抜粋。

 今回の最高裁判断によると、従来からの判断、すなわち、「コンメンタールマンション標準管理規約」評論社や「コンメンタール区分所有法」評論社(理事会で理事長職の解職は可能。ただし、理事の解任は出来ない。)という従来の通りの解釈ということになります。

マンション管理組合の理事長「理事会で解任できる」最高裁初判断 

投稿日:2017年12月21日 作成者:福井英樹 (102 ヒット)

2017年12月18日(月)朝日新聞夕刊によりますと、
マンション管理組合の理事長は理事会で解任できるかが争われた裁判で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は18日、「理事会で選ばれた理事長ならば解任できる」とする初めての判断を示し、「解任できない」とした1、2審判決を破棄。理事会の手続きが適切だったかどうか判断するため、審理を高裁に差し戻した。
訴えたのは2013年3月、福岡県のマンションで理事長に選ばれた男性。管理会社を競争入札で決めるべきと訴えたところ、理事会から反発され、欠席した同年10月の理事会決議で別の理事長が選ばれた。
男性は「理事長を理事会で解任できる、との定めは管理規約にない」として、決議は無効だと訴えていた。
第1小法廷は、総会で選ばれた理事長の過半数の意見が一致すれば、理事会で選ばれた理事長は解任できる、と結論付けた。
マンションの管理規約をめぐっては、今回のマンションを含む多くが国土交通省作成の「標準管理規約」を参考にしているとされる。この規約には、理事長を理事会で解任できるとは記されておらず、最高裁の判断が注目されていた。
1,2審判決は、今回のマンションの管理規約には、理事会で決められる項目に理事長の解任は含まれていないとして、解任は無効とした。
以上、朝日新聞2017年12月18日夕刊より、抜粋。

理事長の理事長職を理事会で解職しても無効? 一・二審は組合側敗訴

投稿日:2017年12月12日 作成者:福井英樹 (131 ヒット)

本年4月にアップさせていただいた表題の最高裁判決が出ます。
マンション管理新聞第1057号第一面によりますと、
来る12月18日に最高裁で当該件の判決がおります。
管理組合理事長を理事会役員の多数決で解任できるかどうかが争われた訴訟の上告審で最高裁第一小法廷(大谷直人裁判長)は11月30日、双方の意見を聞く弁論を開き、結審した。
判決期日は12月18日。
「理事会決議は無効」だとして、原告側の決議無効確認請求を認めた昨年10月の福岡高裁判決が見直される可能性が高い。
この日、法廷で意見を求められた管理組合側代理人の中島繁樹弁護士は、理事長職を解くのに総会決議が必要だと解釈すると「任期途中での交代は実現できないという結果になる。理事長が(自らが解任になる議案の)総会招集もしないだろう」と言及。
一般社団法人法で代表理事の選任・解任が理事会の互選と規定されている点にも触れ「管理組合の場合も同様に処理するのが当然」と訴えた。中島弁護士は、理事長の解任について、理事の「互選で出来るというのが実務の慣行」だとし、この点を明確にするよう求めた。
原告側代理人からは、特に意見は出なかった。
理事長を理事会決議で解任したのは福岡県久留米市のマンション。その後の総会で理事も解任されたが、この元理事長は総会決議等の無効を求め2014年に提訴した(マンション管理新聞11月5日付第1054号6面参照)。昨年3月の福岡地裁久留米支部判決は。元理事長の訴えを認め、管理組合側が敗訴。10月4日の福岡高裁判決も管理組合側が敗訴した。
高裁判決は「一旦選任された役員を理事会決議で解任することは予定されていない」と判断。「役職を理事長から単なる理事に変更することを内容とする理事会決議は無効」だとする一方、「これと一体とされてきた新理事長の選任の決議も無効」だと結論付けた。
規約条文は「マンション標準管理規約」に準拠した内容。役員の解任については規定があるが、「役職」については選任手法しか言及がない。
以上、マンション管理新聞第1057号第一面より。

本年4月にも、アップさせていただいておりましたが、このたびの、最高裁では、従来からの認識(コンメンタールマンション標準管理規約の解釈並びにコンメンタール区分所有法の解釈)が指示され、再確認される模様です。
我々マンション管理士も当該解釈で、従来から、区分所有者からの相談等に対応しておりますが、最高裁が出たとしても、今後の無用な論争を避けるために規約に「役職」の解任手法も明記しておくに越したことはなさそうです。

日管連加盟 (一社)大阪府マンション管理士会本部無料相談会のお知らせ

投稿日:2017年11月27日 作成者:福井英樹 (85 ヒット)

日管連加盟(一社)大阪府マンション管理士会は、来る2018年1月10日(水)に本部無料相談会を開催いたします。主に、主に大規模修繕工事における賢明な倫理観あるコンサルタントの選び方について対応いたします。
日時:2018年1月10日(水)午後6時~午後6時50分まで。
場所:大阪市立住まい情報センター5階 研修室
お申し込みは、事前予約必要。090-7356-7783へ、または、06-6341-4658へ。

一般社団法人 マンションリフォーム技術協会から、下段の「不適切コンサルタント問題への提言」がなされております。

 現在のマンション改修業界は、不適切な行為を行うコンサルタントの横行で混乱状態にあります。管理組合が行う大規模修繕工事等に際し、適切な工事費で良好な工事を公明正大に実施できるよう管理組合を支援することがコンサルタントの使命です。
 そのコンサルタントの一部が計画的・組織的に工事会社からバックマージンを受け取っており、最近そのような不適切なコンサルタントが増えています。
 その結果、ユーザーであるマンション管理組合(区分所有者)に対して、割高な工事による経済的な損失を与え、さらには工事の品質に影響している場合もあります。
 マンションの大規模修繕工事においても設計事務所のコンサルタントによる設計施工管理方式が普及してきました。その中にはコンサルタント(設計事務所)を単なる金儲け商売としてしか考えず、管理組合の支援者としての使命感が欠如した似非コンサルタントも含まれています。
 たとえ法に触れなくとも、バックマージンを取る事に腐心する「不適切コンサルタント」の存在を放置すればマンション改修業界そのものが取り返しのつかないダメージを受けることになります。
この不適切コンサルタントの最大の問題は、マンション管理組合(区分所有者)に割高な工事費という実害を与えていることでしょう。
 さらには、業界全体が信用を失い、ひいてはマンション改修業界全体の劣化・衰退につながることです。これらの問題を子細に見ていくと数多くの弊害が生じている事がわかります。(以上抜粋より)

そもそも、大規模修繕工事の適正価格という点についてですが、上記の不適切コンサル以前に、建設業界自体が重層構造になっていて、元請け、下請け、孫請け、曾孫請けなど、すごい重層構造になっています。そして、必然的にそれぞれの階層で利益を必要とします。その結果、最終的な金額が上がってしまったり、末端の工事者の日当が下がったりという弊害があります。

したがいまして、その階層を少しでも減らすことで、総コストを下げることができ、総工事費を抑えることができます。

また、当該重層構造を止めることによって、末端の工事者の顔が見えるようになり、腕の良い工事者が仕事をしてくれることになり、かつ、工事者にも正当な賃金を支払うことが可能になり、高品質を確保できるようになります。

管理組合理事会は、大規模修繕工事において、区分所有者に対する説明責任を負っています。賢明な倫理観あるコンサルタントを選ぶことによって、当該透明性を確保し、区分所有者に対する説明責任を担保でき、すべての利害関係者に公平性の確保の完遂をすることができます。

日管連加盟(一社)大阪府マンション管理士会 本部無料相談会のお知らせ

投稿日:2017年10月30日 作成者:福井英樹 (100 ヒット)

日管連加盟(一社)大阪府マンション管理士会では本部無料相談会を毎月開催しています。
第一水曜日と第三土曜日に毎月2回開催しています。(ただし、1月は第二水曜日の開催、2月の水曜相談会並びに12月の土曜相談会は休会とさせていただいております。)

住宅宿泊事業法(民泊新法)で民泊が可能になることを受け、標準管理規約が改正されました。同法に対する管理組合の対応方法や特区民泊対応、その他、管理全般の相談も受け付けております。
お気軽にお申し込みくださいませ。

日時:2017年12月06日(水)午後6時から午後6時50分まで。
場所:大阪市住まい情報センター5階

開催10分前にはご集合くださいませ。

お申し込み・お問い合わせは 電話06-6341-4658、090-7356-7783 相談会担当まで。 Email: omk@osaka-mankan.com またはma67rd77ml@kcn.jp

民泊は居住環境に与える影響が非常に大きいと考えられるため、マンションで禁止する場合は、民泊の可否を提示した国土交通省の改正マンション標準管理規約を参考に各マンションの管理規約の改正が最も確実です。
管理規約で民泊の可否を明らかにしないまま民泊新法に基づき、一部の区分所有者が適法に民泊を始めた場合、後々になって、管理規約で禁止しようと思っても、区分所有法第31条1項の「特別の影響」に該当し、特別決議の4分の3を超える区分所有者の同意があったとしても、当該民泊実施者の承諾が必要になる可能性があり、新法施行後に規約を改正した場合、最悪、訴訟に発展することも考えられます。

また、内閣府地方創生推進事務局からは「特区民泊の改正標準管理規約における取り扱いについて」の通知が10月26日付でなされております。

以下、当該通知の「記」より列記。

1.特区民泊及び住宅宿泊事業の両方を位置づける場合の規定例は、以下(1)~(3)のとおりです。
   特区民泊は許容するが住宅宿泊事業は禁止する場合など、特区民泊と住宅宿泊事業とで取り扱い を異にする場合には(1)~(3)で示した規定例を組み合わせて管理規約に定めることが考えられます。

(1)特区民泊及び住宅宿泊事業を許容する場合の規定例
第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届け出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。
3 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することができる。

(2)特区民泊及び住宅宿泊事業の禁止を明示する場合の規定例
第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届け出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
3 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。

(3)特区民泊及び住宅宿泊事業の可否を使用細則に委ねる場合の規定例(※)
(※)新規分譲時の原紙規約等において、特区民泊及び住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくことのもあり得る。

第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届け出を行って営む同法第2条第3の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。
3 区分所有者が、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。

2.なお、平成28年12月9日付けの「区分所有建物のおける特区民泊の実施について」をもって当事務局から通知したとおり、管理規約が平成29年8月の改正前の「マンション標準管理規約」のままであり、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」との規定のみしかない場合は、原則、特区民泊に係わる特定認定の対象となることに御留意下さい。
今般の「マンション標準管理規約」の改正を受けて、住宅宿泊事業についてのみ可否に関する規定を設けた場合(管理規約に特区民泊の可否に関する規定がない場合)であっても、同様に特区民泊に係わる特定認定の対象となります。

以上、通知の「記」からの抜粋です。

従って本通知は、特区民泊を行う可能性のある管理組合が、今回の「マンション標準管理規約」の改正を受けて住宅宿泊事業の可否のみを管理規約に規定した場合には、逆に特区民泊の取り扱いについて疑義を広げるおそれがあるとのとこで、確認の意味で、本通知がなされたものです。

福井英樹マンション管理士総合事務所

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