採録 4/16 日本マンション学会千葉大会第2分科会 マンションの長寿命化と管理計画認定制度のあり方

投稿日:2022年05月21日 作成者:福井英樹 (303 ヒット)

4月16・17日にオンライン形式で開催された日本マンション学会千葉大会。ここでは、大学教授や弁護士ら4人が管理計画認定制度について議論した16日の第2分科会「マンションの長寿命化と管理計画認定制度のあり方」から2人の発言要旨を採録します。<構成・編集部>

マンション管理の適正化は管理組合・区分所有者だけの努力で実現できるか

                       折田泰宏弁護士

折田泰宏弁護士は、自身のマンションで管理計画認定制度の適合状況をチェックした結果を基に制度の課題などを挙げた。

認定制度は、都道府県等の管理適正化指針への適応を除くと16項目ある。そのうち該当したのは8項目。半分しかないということでびっくりした。

「管理組合の運営」は、管理者が定められている、監事の選任、集会が年1回以上開催。通常の管理規約が作られていれば、この3点はどこもクリアしていると思う。

ただ、集会が年1回以上という要件をクリアしたら良しなのかどうかは疑問がある。実際の運営でいくと集会を開催するだけでも理事会の開催が2回はいる。少なくとも3カ月に1回とか、私のマンションは毎月やっているがそれくらいしないと運営はできない。

次に管理規約が作成されているか、内容的に緊急時の専有部立ち入りや修繕履歴情報の管理、財務・管理に関する情報の書面交付の定めがあるかどうか。

立ち入りについては最近の標準管理規約の改正で区分所有者の同意がなくても立ち入れるとなっている。うちは昨年くらいから管理規約の改正に取り組んだが最終の総会承認がまだできていなかったこともあって、この項目が失点となった。今はクリアされている。

「管理組合の経理」はクリアしている。

長期修繕計画の部分は6項目ある。私のマンションでは長期修繕計画はあるが古いもので「作成・見直し7年以内」に引っ掛かり、結果6項目全部「×」扱いとなった。

修繕計画をまとめ次の総会で承認する段取りになっているので、長計関係の6項目はクリアされる。

問題は、管理会社が作る長期修繕計画はパターン化された形で増産されているような安易な計画なので、その時点でのマンションの老朽化をきちっと調べて、それをベースにした長期修繕計画かというと、そうではない。

実際に使い物になる長期修繕計画を作る作業が必要だが、お金をかけてやっていかざるを得ないことになる。

「その他」の組合員名簿・居住者名簿を備えて年1回以上確認することは、管理組合として居住者名簿を持っていないので「×」が付いた。

居住者名簿は管理会社が作って持っている。個人情報なので見せられないと言う管理会社がある。

私どもの理事会は管理会社が作っているものを共有する。保管をどうするかという問題はあるが、そのことを要求して了解をもらっている。ただ年1回以上の確認という問題もあるので、今後は認定制度のおかげになると思うが、管理会社にきちっと要求して整備させることができる。

50点の成績しかなかったが、管理会社がどう動くかでクリアできるところがある。管理組合だけで一体何ができるのか。

分譲業者の役割も非常に重要で、今回予備認定ができた。原始管理規約や積立金の適正な額といった分譲段階から認定制度の項目が整備されていれば、ほとんどクリアされるが任意で弱すぎる。

問題を含んだマンションが作られて管理不適正の原因にもなっている。それを管理組合の努力で解決するというところで認定制度が出ているが、これを条例で管理会社や分譲業者に守るべき事柄を具体化して義務付けしていく方向も考える必要があるのではないか。

 

管理計画認定制度の今後の展望

 大槻博司氏

認定制度で感じたことは、まず新築を含む優良なマンションにとっては認定の評価項目はできて当たり前という感覚だと思う。主体性が重要になってくるが、新しいうちは管理会社がそれなりにやれば大体の項目はクリアできるのではないか。

二つ目は管理不全の可能性のあるマンション。そもそも認定申請する力量がないというか、情報を知らないレベルだと思う。結果として要支援マンションを何とかする以前に把握できないのではないかと思った。

三つ目は高経年。旧耐震以前のものについて、評価項目の基本的なことだけでは長寿命化につながらないのではないかと思った。

基本的に空き家が増えることが管理不全につながっていく。空き家がある程度以上増えないことが重要なのでそこにつながる基準や項目があるべきでは。

四つ目は機械式駐車場や超高層で時々見られる大浴場、マシンジムという施設の維持管理がちゃんとできる状態にあるのかも今回の制度項目では把握できない。ジムや大浴場に相応する積立金はあるのか。状況を把握する必要があるのではないか。

機械式駐車場も重荷になっているマンションが多くある。これを埋めて平面駐車場にすることはプラス評価ではないだろうか。そして駐車場収入を一般会計に入れている場合はマイナス評価にすべきでは。耐震改修やエレベーター設置も評価すべきではないか。

こうした内容が独自基準の中で盛り込まれていくと、制度がより充実したものになり積極的に認定申請しようかということになるのではないか。

 

以上、マンション管理新聞第1203号より抜粋。

 


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