民泊『許容』はゼロ 全面禁止が96.2% 登録組合にアンケート マンション管理センター

投稿日:2018年08月15日 作成者:福井英樹 (1748 ヒット)

 民泊「許容」はゼロー。公益財団法人マンション管理センターが7月27日公表した「民泊対応状況管理組合アンケート調査」結果で、こんな実態が明らかになった。全体の96.2%が「民泊は全面的に禁止した」と答えた。
 同センターに登録する約8600管理組合にウエブ上でアンケートを行った。有効回答数は105。回答率は1.2%にとどまった。調査期間は6月15日~7月6日。

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 民泊を全面的に禁止したのは101件(96.2%)。「何も定めていない」が3件(2.9%)。「その他」(1.0%)として、「総会で結論が出るまでの対応として理事会で禁止を決議した」と答えた組合が1件あった。民泊を許容した組合はなかった。
 民泊禁止の規定方法は「管理規約で規定」が77件(76.2%)でトップ。
 民泊を全面禁止にした理由のトップ3は「騒音・ごみ廃棄など迷惑行為の懸念」(67件、66.3%)「防犯・安全面の懸念」(57件、56.4%)「不特定多数の立ち入りによるいざこざ」(21件、20.8%)。
 違法民泊の状況についても尋ねた。違法民泊は「行われていない」92件(87.6%)、行われているようだが確証はない」6件(5.7%)、「行われており確証がある」2件(1.9%)。
 対応は「民泊禁止の掲示をした」「部屋の区分所有者に注意をした」など。
 自由意見には「一律にすべきではないと思うが、不適切行為が行われた時の管理組合の負担が増大するので禁止するしかない」「区分所有者全員の意見の統一、管理規約改正はハードルが高い」「民泊事例(良いことを含めて)を紹介してほしい」などの声が寄せられた。

以上、マンション管理新聞第1079号より抜粋。

 2018年6月15日に施行された住宅宿泊事業法は、当該3カ月前から準備行為として、住宅宿泊事業や管理業、仲介業の受付がなされましたが、関係者が事前に予測していたよりも、大きく下回る届け出件数や登録の件数となりました。
 有名な民泊仲介サイトのAirbnbの民泊登録件数は62000件ありましたが、当該法の施行前に行われた未届け物件の一斉の削除後は、14000件となりました。
 要因としては、行政での処理が遅延している、正式な旅館業の許可取得を試みている等の点を除いても、大抵が法律や条例の必要条件や規制のハードルが高く感じられている点と、営業日数上限に対して消防設備や建築関係のコストで採算が読みづらい点にあることが推測されます。
 住宅宿泊事業法の届け出では、営業しようとする建物に、生活の本拠地としている区分所有者等がいる分譲マンションでは、管理組合で定める管理規約に「住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない」ことを証明しなければなりません。
 この場合に、管理規約や細則に住宅宿泊事業や民泊について、一切記載がないことをもって「住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない」と判断することはあたわず、管理規約で「住宅宿泊事業を営むことができる」とした明確な規定がない場合は、さらに当該管理組合に「住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がない」ことを確認した上で、そのことを証明する「誓約書」を提出しなければなりません。
 また、分譲マンション等の共同住宅の場合、住宅宿泊事業に恭する面積が一定の割合を超える場合に、届け出する部屋にかかわらず建物全体を共同住宅ではなく、宿泊施設基準に合わせた消防設備を設置することが義務付けられます。
 すなわち、一部の住宅宿泊事業者の為に全ての区分所有者等に消防設備設置の負担を義務付けることになるため、実質、消防法令基準を満たすことがかなわず、届け出が不可能な状況になります。
 なお、この住宅宿泊事業に供する面積の一定割合に明確な基準はなく、管轄の消防署に確認する必要がありますが、全体面積の約10%を超えた時点で該当すると考えられています。
 さらに、分譲マンション等の場合は、現実問題として、民泊をする部屋と他の区分所有者等の部屋が上下左右に隣接しています。緩んだ旅行気分の宿泊者に対して、隣接する部屋は生活の本拠地であり、旅行気分で騒がれると、区分所有者等にとって、迷惑行為以外の何ものでもありません。
 また、本来のオートロック機能なども無力化し、不安を覚える区分所有者等も多くなり、ゴミ出し等のルールが当該宿泊者に守られることは期待すべくもなく、共用スペースにゴミやタバコのポイ捨て等も懸念されるため、共同住宅での民泊事業の実施にあたっては、宿泊者に対する厳格な注意喚起が要求される為、事業者にとっては極めてハードルの高いものとなっています。
以上、「住宅宿泊事業法の仕組みと民泊の法律問題解決マニュアル」三修社刊より抜粋加筆。

なお、当該書籍は、マンションの民泊問題もさることながら、2018年6月施行の住宅宿泊事業法に完全対応しており、すでに営業を行っている事業者はじめ、手続きにいたっていない事業開始予定者、行政書士、建築士などにとって、必携の書となることでしょう。

 


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