排水管ライニング『マルライナー工法』 築50年の団地を救う 富士見町団地(東京・立川 20棟876戸) パイプインパイプで再生 マンション管理新聞第1067号より抜粋他

投稿日:2018年04月14日 作成者:福井英樹 (1007 ヒット)

富士見町団地管理組合法人は長年、建て替えの検討を進めていた。しかし、2016年12月の臨時総会で建て替え実施計画案が立川市との協議状況から極めて現実不可能であるとして、「団地機能(ライフラインの維持等)を維持しつつ、将来の健全な団地再生への再スタート」が決議された。同時に団地再生の第1弾として排水管の修繕の実施が決議された。建て替えの検討を進めていた関係で抜本的な対策が講じられなかったため、老朽化した排水管からの漏水事故が急増していた。
 「排水管からの漏水に関する後追い的な緊急修繕はここ23年間で570件あり、それに要した費用は累計で5500万円を超えていた」という。
 取材には理事長、副理事長、会計担当理事2名様に対応いただいた。
 「ある棟は1階の10戸のうち9戸で床下の排水管が腐蝕で折れて、汚水が垂れ流しの状態だった」「どの棟も似たり寄ったりで1階床下は泥沼の状態」
 「1年半に1回ほど各戸に入室しての排水管洗浄を行ってきたが、高圧洗浄を実施すると漏水事故が多発するので、圧がかけられなかった。洗浄をやってもやらなくても変わらない状況だった」
 排水管の抜本的な対策の実施は待ったなしの状態に追い込まれていた。
 排水管点検報告書のリポートには「点検結果の写真を見る限り、あちこち傷んでいるのが現状。よく皆さん、ここまで我慢をしてきたものだと。点検に当たった理事の感想」と記載されているが。まさに我慢の限界の状況だった、といえる。
 管理組合は管理組合は排水管対策の検討に当たって「工事中の仮住まいを必要としないこと、短期間(2~3日程度)で各戸の工事が完成すること、工事が行われていない時間(1日の工事終了時から翌朝の工事開始前まで)は使用できる」ことを必須条件とした。
 管理組合は業者募集を客観性、公平性を鑑みて公募を採用、工事規模や工事期間も考慮し一定以上の経営規模を有する会社とし、その結果5社が参加。
 業者選定に当たっては「総合評価落札方式」を採用、発注は設計時に工事数量の全部または一部を概数で積算し発注して、契約後に現場調査を行い数量を確定する「概数設計発注」で実施した。
 総合評価落札方式は価格のみの競争方式とは異なり、新しい技術やノウハウ、工期の短縮といった価格以外の要素を含め、提案内容を数値化して落札、この得点を提出された価格とを比較した「表価値」を用いることで総合的に評価する落札方式だ。
 具体的に管理組合は見積額だけでなく、同団地建物に十分対応できる工事品質や技術力、企業の補償力・信頼性などの評価を加えて総合的に判断。総合的評価に当たっては①見積もり関連の評価(見積書の内容・金額)②企業の客観的事項の評価(工事施工能力・品質・財務状況等)③ヒアリング時の評価(工事体制、対応姿勢・対応力等)の3つの表価値を総合して判断した。中略
 ユニークなのは各社のヒアリングは広報紙を通じて全組合員に案内、会場に駆け付けた組合員に採点してもらうスタイルをとっている点だ。住民の民意を修繕工事に反映させたいという管理組合の意向だが、5社が参加したヒアリングは質疑応答も含めて1社1時間、2日間にわたった。二十数人の組合員が参加、工事中の生活への影響など質問が相次いだ。
 厳しい採点を経て5社による総合評価でマルナカがトップの表価値を獲得した。同社は立て管は排水管ライニングのマルライナー工法、枝管は更新を提案した。マルライナー工法は排水管内部を洗浄しさび等の付着物を除去、その後、エポキシ樹脂を含んだ芯材を管内に反転させながら挿入し、内壁に密着させ、パイプの中にもう一つのパイプを形成させる技術だ。
 浴室の排水トラップも交換となると防水工事を伴う多額の費用が必要となるが、同社は排水トラップの内面にエポキシ樹脂を含浸させた芯材を張り付けて硬化させる「トラップライナー工法」で実施、こうした技術が高い評価となった一つの要因である。
 「住民は十人十色。様々な要望があったようだが、すべて対応してくれた。各戸の工事終了後はマルナカ自身がアンケート調査をして、要望を一つ一つ丁寧に対応してくださった。管理組合も中間検査などでいろいろと指摘した部分もあったが竣工検査までにしっかり対応を済ませてくれ、十分に満足いく工事となった」と評価している。
 マルナカにとっても、来期は節目の50期を迎え、さらに躍進が期待される。
以上、マンション管理新聞第1067号より抜粋。

この記事にある排水管更生工事における「パイプインパイプ工法」については、当該マルライナーの株式会社マルナカの他、株式会社P・C・Gテクニカ、大阪ガスリノテック株式会社、リノベライナー工法のいずみテクノス株式会社等、管更生工事業界を代表する団体として33年前に発足した日本管更生工業会加盟の業者です。
 福井英樹も数年前に滋賀県栗東市にある積水化学工業の視察をさせていただいた際に、上記一部の業者に採用されている、既設管内部に密着させて、新しい管を形成するこの画期的な工法に目からうろこが落ちました。管が劣化して穴のあいた老朽管でも、敷設したままで再生可能となります。上記業者の中には20年の長期保証を付保している会社もあります。
 高経年マンションでは、管の劣化による水漏れ事故が頻繁に発生しています。管の取り換えによる更新工事は日数がかかるため住民の負担が大きく、現実的でないため、費用も更新工事の半分で済む等のメリットもあり、当該更生工事を採用するマンションが増えてきています。
 福井英樹も何軒かの築40年近くの管理組合を訪問した際には、この更生工事をお勧めしています。
さらに(一社)日本マンション管理士会連合会と日新火災の共同企画の「マンション管理適正化診断サービス」では、高経年マンションでも、当該更新工事を実施していることがベストではありますが、当該更生工事を実施しているマンションについても評価得点が高く、保険金額でもかなりの優遇掛け金が適用される場合が多くあります。
 また、高経年マンションでは給湯管の配管の銅管の経年劣化によるピンホールからの水漏れにより、漏水事故が多発しているマンションにも出くわしました。給水管には硬質塩化ビニールライニング鋼管等が使用されていますが、お湯、すなわち給湯管には銅管が使われています。銅は耐久性に優れていて、殺菌作用もありますが、経年によりピンホールが発生してきます。高経年マンションではあちこちでそのピンホールからの漏水事故が頻発しています。
 ピンホールで漏水した銅管は今までは取り替えるしか方法はありませんでしたが、更新工事をするとなると日数面でも費用面でも住民の負担が重くなります。上記排水管の更生工事と同じように、既設管をそのまま敷設したまま、ピンホールだけを塞ぐという方法があれば、まさに画期的です。
 上記日本管更生工業会加盟の日本リニューアル株式会社が無害のシリコンボールでピンホールを塞ぐ銅管止水ライニング工法の「リ・パイプブロック工法」で特許技術を編み出したとのこと。給湯管の漏水事故でお困りの管理組合の方は問い合わせをしてみる価値はありそうです。


福井英樹マンション管理士総合事務所

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