4/20日本マンション学会名古屋大会・メインシンポジウム 基調講演 「区分所有法の改正について」早大名誉教授 鎌野邦樹
鎌野邦樹・早稲田大学名誉教授は、法制審議会が2月15日に答申した、区分所有法見直しに関する要項の概要などを説明。決議要件の緩和などが提示され建て替え等の再生は「費用面の問題から実際には難しい」とし、建物の延命化に主眼を置く考えを示した。
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建て替えは現行では5分の4以上で、耐震性不足その他客観的な事由がある場合には4分の3に緩和しようとなっている。
それ以外に建物敷地売却制度といった、いわゆる解消制度、さらには建物の更新という言葉が最終的に使われるようだが一棟リノベーションのような制度が再生の新たな手法で取り上げられた。
建て替えはもちろんこうした制度が実際にどれだけ普及するか。どれもお金がかかる。解消の場合は合意形成によって、どれだけ自分たちにお金が配分されるのかが問題になるので、そう簡単ではないだろう。
そうするとやはり管理をしっかりする。
その目玉は所在不明あるいは所有者不明の区分所有者について裁判所の決定を受けて(集会決議の)母数から除外する制度だ。
だがそれ以上に大きいのは集会出席者の多数で決められるようにしようという仕組みで、しっかりとした改修あるいは管理を行ってもらいたいということで、こういう制度ができあがった。
円滑に再生がなされることが望ましいが必ずしも容易ではないとすると、今ある建物をできるだけ長持ちさせる。建物の構造その他によって、それぞれのマンションの事情は違うが、そういうことを目指すということが大事ではないか。
以上、マンション管理新聞第1269号「採録4/20日本マンション学会名古屋大会・メインシンポジウム 基調講演」より