築20年超・過去1回以上の工事 大規模修繕工事実施で 固定資産税減額へ特別措置 管理計画認定申請時「積立金引き上げ」など条件 

投稿日:2023年01月11日 作成者:福井英樹 (746 ヒット)

国土交通省は12月16日、2023年度の税制改正要望結果の概要を公表した。一定の要件を満たし長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合、区分所有者に対する建物部分の固定資産税を減額する特例措置「マンション長寿命化促進税制」が実現する。関連税法の改正が前提だ。

要望結果では8月の要求事項にはなかった「築後20年以上が経過している10戸以上」「長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施」などの要件が追加されている。「築後20年以上」とは「20年超」を指す。

対象となるマンションの要件として築20年超・10戸以上や過去1回以上の工事実施、修繕積立金を引き上げて管理計画認定制度の認定を受けていることなどを設定する。要件を満たしたマンションの工事実施翌年度の固定資産税を自治体が条例で定める減額割合の範囲内で減額する。減額割合は最大2分の1。

「長寿命化に資する大規模修繕工事」とは「屋根防水」「床防水」「外壁塗装等」としている。

国交省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付けは、要件の追加について「2回目以降の大規模修繕工事ができていないことが分っていて、高齢化や工事費の上昇で修繕積立金の引き上げができないところを後押しするため一定の築年数で区切った」と説明する。

また「築20年を過ぎると外壁のひび割れなども増えてくる。そのタイミングで工事をしてもらうというのもあって設定した」と話している。

築20年を超えているかどうかは長寿命化に資する大規模修繕工事の「完了日」(同参事付)とする方針。

戸数要件については「工事が行われなかった場合に周囲への悪影響が大きくなってくるので設けた。全国的にかなりの割合で10戸以上があるのでいったんそこで区切った」という。店舗や事務所も含めるかは未定。

「長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施」は「屋根防水」「床防水」「外壁塗装等」工事を実施したかどうかを求める。工事のタイミングは「一緒でなくても大丈夫」(同)にする方針。

「長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保」は、同参事官付けによれば、管理計画認定制度の認定マンションのうち、修繕積立金を認定基準に引き上げて認定を受けていることを求める。

減額割合は自治体が決定「3分の1」を目安に

認定マンションで「修繕積立金を引き上げなくても認定を取れたマンションは今回の対象から外している」(同)。その理由について「今回、修繕積立金の引き上げの合意形成を後押しするという狙いがある」と説明している。

この要件では他に自治体が改正マンション管理適正化法に基づく助言・指導を受けて「適切に長期修繕計画の見直し等をした場合」も対象にする。

同参事官付によれば「等」には見直しのほか作成も含める。修繕積立金を認定基準に引き上げることを求めるかどうかは「今は考えていない。必要な額が最低限確保されていることが確認できれば対象にすることを考えている」という。

こうした要件をクリアしているマンションが「屋根防水」「床防水」「外壁塗装等」を実施した場合、工事翌年度の固定資産税を減額する対象にする。工事は「同じタイミングで実施していただく必要がある」(同)。

同参事官によれば外壁塗装等の「等」には外壁タイルの張り替え工事も想定している。具体的な工事内容などは「調整中。たぶん告示で定めることになると思う」。

2021年9月に改定した長期修繕計画作成ガイドライン・同標準様式の項目をイメージしているが、鉄部塗装や給・排水管など設備、建具・金物工事は「対象にしない予定」。

一般的な大規模修繕工事かどうかについては「マンションごとに何をするかは違うので今回の対象になるとは言い難い」という。

特例措置は23年4月1日~25年3月31日の2年間。同参事官によれば。この期間に工事を完了させる。固定資産税の減額を受けられるのは24年度・25年度。

減額割合は自治体が条例で6分の1~2分の1の範囲内で定める。国交省では参酌基準を3分の1とし、減額は戸当たり100平方メートル相当分までとしている。

この日公表された与党の税制改正大綱によると、減額に自治体ヘの申告は区分所有者が工事後3カ月以内に行う。また長寿命化に資する大規模修繕工事であることなどをマンション管理士等が発行する証明書などを添付する。

特例措置を延長するかどうかは「情勢を見ながら必要に応じて検討する」(同)。

以上、マンション管理新聞第1224号より。


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