元社員の着服で指示処分 日鉄コミュニティ 現場徴収の小口現金 国交省関東整備局

投稿日:2021年09月20日 作成者:福井英樹 (5011 ヒット)

国土交通省関東地方整備局は9月6日、日鉄コミュニティ(本社東京、佐藤諭貴社長)に対して、マンション管理適正化法81条に基づく指示処分を行った、と発表した。処分理由は管理事務を受託する複数の管理組合において、管理組合の財産を元社員が着服し管理組合に損害を与えたこと。

2020年3月の不正発覚後、国交省と一般社団法人マンション管理業協会に速やかに報告を行った。国交省への最終報告は今年4月26日。

同社は19年4月にも元社員による管理組合資金毀損で指示処分を受けており、処分は今回で2回目となる。

同社の調査によれば管理事務室で管理員が組合員等から現金で受け取った来客用駐車場、自転車置き場、集会室等の共用施設使用料等を、回収したフロント担当者が管理組合の口座に入金せず、不正に流用していた。

また、管理組合のイベント費用や、理事会役員等への報酬金、役員等による懇親会費用を関係者へ渡し、その後、使用後の残金等を管理組合口座へ戻さずに不正に流用していた。

被害金額は管理組合に全額弁済した。被害管理組合数や被害金額は明らかにしていない。

着服が明らかになった社員は懲戒解雇となっている。

今回の不正は、元理事から「役員報酬を受け取っていない」との連絡で発覚した。不正期間は15年9月~20年3月までの4年7カ月と長期に及ぶ。

日鉄コミュニティでは、再発防止策として管理事務室での現金取り扱い禁止を打ち出し、全物件で達成させるために、現在取り組みを進めている。

それまでは、管理員から組合会計担当部署に入金明細書や領収書控えを直送し、フロント担当者が回収した金額と突き合わせ、紛失等がないかを確認する。

また、管理組合役員等が使用するために支出した現金については領収書等による、最終的な使用金額や資金使途を確認するとともに、最終確認ができるまでは管理組合の資金ではなく、会社の資金で立て替える。

今回の不正発覚後、同社は管理受託している全国約580管理組合を対象に過去5年分の証憑類の全調査を実施、問題ないことを確認した。

同社は「このたびの処分を厳粛に受け止め、一層の体制強化を図り、お客様の信頼回復に向け全社一丸となって努めていく」とコメントしている。

 

以上、マンション管理新聞第1181号より。


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