『悪臭』も共同利益背反行為 59条競売請求認める 2年以上継続 最大で15匹 猫の多頭飼いでトラブル 10/27 横浜地裁相模原支部

投稿日:2020年12月02日 作成者:福井英樹 (870 ヒット)

ペットの多頭飼いが原因の悪臭は「共同の利益に反する行為」ー。神奈川県のマンション管理組合が「ペットの飼育を適切に行わず悪臭を発生させ続けている」などとして、最大で15匹の猫を飼育していた区分所有者を相手取り区分所有法59条競売1項に基づく競売請求を求めた裁判の判決が10月27日、横浜地裁相模原支部であった。判決では悪臭が2年以上も続いている、飼育者にペットを手放す意思がない、といった点などから競売請求を認めた。判決は確定している。

判決文などによればマンションは築約15年。問題の区分所有者は新築時に購入し夫婦で暮らしている。

ペット飼育は管理規約で認められていたが飼育ルール等詳細な規定はなかったという。

悪臭が問題になり始めたのは2017年7月ごろ。相手方区分所有者住戸の換気扇から悪臭が生じ「ベランダの窓を開けられない」「共用廊下にも悪臭がこもり日常生活に大きな支障を来している」と隣室の住民から苦情が出た。

管理会社が臭いを確認、相手方と面談し改善を依頼する一方、住戸の立ち入りを求めた。住戸に立ち入ると室内の床や畳が猫の糞尿で腐っていた。

その後も苦情が出たため、再度立ち入りを敢行。畳を外してもらうと下の板まで糞尿らしきものが染みこみ、室内は獣臭と糞尿臭が充満していた。

対応を求められた相手方は室内の畳を剥がす、床の一部を張り替えるなどしたが悪臭は収まらず、翌年の通常総会では相手方も出席し猫の飼育方法を協議する事態に。

この総会で、飼育する猫は15匹に及び、また猫の糞尿で畳や床が腐ったことが悪臭の原因、といった事実が明確になったが、相手方は猫の数を減らす考えはない、と応じた。

このため管理組合は19年2月、ペットを「3頭羽まで」とする飼育数の制限や飼育ルール、承認制などを盛り込んだ飼育細則を制定したが、相手方は決議に反対。飼育承認の届け出も提出しなかった。悪臭も改善せず、結局管理組合は競売請求に踏み切り、この年の秋に提訴した。

 

頭数減、飼育者は拒否 解決見込みなしと判断

 

高宮園美裁判官は、飼育細則に従った適切な飼育ができていない、糞尿による悪臭等で他の住民に被害を与え続けている、飼育承認を受けていない、といった点から相手方は「共同の利益に反する行為を続けているもの」と認定した。

相手方は、悪臭の事実は認めた上で「競売申し立てを受けるほど周囲に迷惑を掛けていない」、「少しずつではあるが具体的な改善はしている」と反論。

また高次脳機能障害と反復性うつ病で、妻もパニック障害という持病があるとし「今いる猫は家族同然の大切な存在で死ぬまで手放す意思はない。全て去勢手術を済ませたので今後猫が増えることはない」と訴えた。

だが判決では「近隣住民が窓を開けられないような悪臭が少なくても2年以上継続している」とし、相手方の「現状認識は甘すぎる」と一蹴した。

改善についても、相手方が猫を手放す気がない、と明言している点から「猫の年齢を考えると場合によっては10年以上頭数制限規則違反の数を飼育し続けることを公言したに等しく」、「抜本的改善のための意識は低い」と言及。持病については、精神的な疾患を抱えている点が「直ちに周囲の住民が不利益を甘受しなければならない状況に置かれることが相当とされるものではない」と退けた。

高宮裁判官は、相手方への改善要望や立ち入りによる確認・指導、総会での協議など管理組合が取った共同利益背反行為の停止・予防策を評価。それでも解決ができない、また相手方に猫を手放す意思がない点から、他の方法では「共同生活の維持を図ることが困難な状況」と認定し競売請求を認めた。

管理組合は裁判で弁護士費用として約65万円の支払いも求めていたが、20万円の支払いを命じている。

以上、マンション管理新聞第1155号より。


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