コロナ禍での工事で「衛生対策チーム」が大好評 排水管更生工事のパイオニア(株)マルナカ マンション管理新聞第1153号より

投稿日:2020年11月10日 作成者:福井英樹 (2683 ヒット)

みずきが丘住宅(横浜市都筑区 築37年・15棟388戸)終日、各部をアルコール消毒・清掃巡回

「パイプインパイプ更生」共用立て管マルマルライナー工法「排水トラップ更生」浴室排水トラップライナー工法「更新」横枝管の組み合わせで施工

高耐久、住民負担軽減、コスト減プランが高く評価される

 

コロナ禍の中、改修業界初ともいえる専任の「衛生対策チーム」を編成し、施工期間中は朝から晩まで終日、現場事務所や作業員休憩所、仮設トイレ、施工対象住戸内のアルコール消毒・清掃作業を徹底させている排水管改修専門会社がある。排水管更生工事パイオニアのマルナカ(本社神奈川県平塚市、中尾慧理夫社長)だ。現在、工事が進められている横浜市都筑区に建つ「みずきが丘住宅」(築37年、15棟388戸)の管理組合は同社のコロナ対策を高く評価している。

「みずきが丘住宅」の施工現場では、男女2人で編成された「衛生対策チーム」が活躍している。「衛生対策チーム」と背中に書かれた黄色のベストを着用し、タイムスケジュール表に沿って消毒・清掃作業を進めている。

ドアノブを含め、住民が手の触れる部分を徹底的に消毒、清掃を繰り返している。

「衛生対策チームが1日に何回も仮設トイレを巡回、消毒してくれている。ありがたい」と話すのは、同団地管理組合法人の椎名大朗理事長だ。

このコロナ禍の中、改修工事各社とも、作業員の検温・マスク着用と手洗い・うがいの徹底、現場事務所・作業員休憩室の換気と衛生対策、室内作業時のドアノブなどの消毒、清掃を実施している。

マルナカはこれに加えて「衛生対策チーム」の設置を決定。

「現場スタッフは作業があり、スケジュールを増やすと、負担が大きくなる。そこで、感染症対策だけを専門に行う人員を配置することで、よりお客様に安心していただけると判断、設置を決定した」と、同社の宮島潤常務は話す。左下の表(省略)は衛生対策チームの1日の時間帯別の作業スケジュール表と確認チェック表を行う「衛生管理シート」だ。衛生パトロールも任務に加わっている。作業員がマスクを着用しているか、休憩室でソーシャルディスタンスを取っているかどうかなどをチェックしている。

マスクをしていなければ着用を強制、あるいは汚れが目立っていたら新品マスクを渡している。

マルナカが今回、管理組合から受注した工事は排水管改修工事だ。立て管は同社特許の更生工法「マルライナー工法」実施する。老朽化した排水管を取り替えることなく、管内にエポキシ樹脂を含んだ芯材(ポリエステル樹脂筒)を反転挿入し、密着させる。芯材・樹脂が強固なため、大きな穴があっても、高耐久のパイプを形成できる。最長34メートルのパイプを管内に形成できるため、10階建て相当の立て管内に継ぎ目のない塩ビ管が形成される、というわけだ。

同住宅の浴室はタイル張りの在来工法で躯体埋め込み式の排水トラップが敷設されている。この排水トラップを更新するとなると、躯体をはつり、防水層の解体が必要となる。工期が長くなり、費用もかさむ。今回、交換せずに同社が開発した排水トラップ再生工事「トラップライナー工法」で実施する。排水トラップの内面にエポキシ樹脂を含浸させた芯材を張り付け硬化させる。

同住宅の横枝管は更新する。RC構造とPC構造の混在型の住宅だが、RC構造は天井裏の配管を更新、PC構造は室内引き込み管部を1メートル分だけ耐火型の塩ビ管で更新する。

この高耐久、住民負担減、コスト減を実現させた改修プランを管理組合が高く評価し、施工業者として選ばれた。業者選定は理事会諮問機関の「長期計画専門委員会」が担当した。

今回の排水管対策は3年ほど前から検討を開始した。3回目の大規模修繕も控えていたため、資金対策も欠かせない。近くの団地は莫大な費用をかけて、それも1週間風呂にも入れない環境下での工事だったという。

同委員会は住民の負担が少ない更生工法を知り、各種更生工法が加盟する業界団体に問い合わせ、担当者に来てもらい説明も受けた。

マルナカの本社を訪問して、デモ施工も見学した。「30年~40年の耐久性への期待もあり、財務面も含めて、技術。工事価格などを総合的に評価、マルナカさんに決定した」

当初は7月着工、5月から全戸室内調査、住民説明会を実施する計画だった。しかし、コロナが直撃。管理組合はマルナカと施工協議の場を持った。「コロナで仕事が少なくなる時期だけに、経営を優先して予定通りの工期を申し出ていたら首をかしげたが、緊急事態宣言の発令中は住民と従業員の安全を優先して工事を延期し、解除後も同様の宣言が発令された場合は工事を中止・延期するとの申し出をしてくれ、工事契約書にもその旨を記述した。管理組合はその姿勢を評価した」と椎名理事長。

結局、緊急事態宣言明けの6月中旬から全戸を対象にして住戸内調査に入り、8月22日、23日に住民説明会を各日6回、少人数による徹底したソーシャルディスタンスで開催、8月29日に無事着工となった。

着工後ほぼ2カ月が経過するが椎名理事長は「よくやってくれている。100点満点で95~96点はあげていい」と話す。

長期計画専門委員会からは「各住民にとっては一生に一度ぐらいの室内に入っての工事。業界常識であってもオプションも含め、より住民に寄り添った工事提案に努めてほしい」との要望もあり、マルナカではその要望に沿って満足度の高い施工に努めている。

以上、マンション管理新聞第1153号より。


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