積立金『足りない』4割強 タワーマンション実態調査を実施 分譲型、区内に30棟 東京・新宿区

投稿日:2020年07月17日 作成者:福井英樹 (410 ヒット)

東京都新宿区は6月26日、区内タワーマンションを対象に実施した実態調査結果を公表した。管理組合へのアンケートでは約4割が今後の修繕積立金について「足りない」と回答している。6割以上は値上げをしていたが、積立金が「足りている」と答えたのは1割にとどまった。タワーマンションを対象にした調査は神戸市中央区が実施しているが、管理組合に詳細なアンケートを実施したのは全国初とみられる。調査結果を2回に分けて掲載します。

区は20階建以上の共同住宅を「タワーマンション」と定義し昨年11月~今年2月、調査を実施した。

居住環境を把握し今後の維持管理やマンション内のコミュニティーづくり、地域コミュニティーなどの施策に反映するのが目的。管理組合アンケート、賃貸を含む居住者アンケート・インタビュー、地域町会・自治会インタビューを行った。

区内タワーマンションは全42棟だが1棟は住戸なし。分譲タイプは30棟。3棟構成の団地型が1件あり管理組合数は28。アンケート回収率は100%。

管理組合アンケートは概要、居住者の属性、管理費・修繕積立金、設備・建物、長期修繕計画、管理組合運営、マンション内のコミュニティー、地域との交流などについて尋ねた。

築年は11年以下6,12~21年16,22年以上5。無回答が1。形態は店舗・事務所併用の複合用途型が14で5割を占める。

区分所有者の現住住戸数は「61%~80%」が8、「80%超」が7あったが60%以下が7あり、このうち3組合は「20%以下」と答えている。

駐車場は「機械式のみあり」が7、「自走式のみあり」が1.「両方あり」19,「ない」が1。充足率は「20%超~40%」「40%超~60%」が、それぞれ9で最多。「100%超」が2。「20%以下」が1あった。

稼働率は「50%以上80%未満」が12で最多。「80%以上100%未満」も9あったが、50%未満も計4件あった。全体の4割近くに当たる10組合が「外部貸し」を行っている、と答えた。管理費に関する設問で「管理費は足りているか」の問いには3組合が「足りない」と答えており、管理費不足の背景には駐車場稼働率も関係している可能性がありそうだ。

駐車場収入の充当先は「管理費」が21組合に達した。「管理費と修繕積立金に一定割合ずつ組み入れている」が2あったが、「修繕積立金」はゼロ。

居住者の属性は「40歳以上60歳未満」とする回答が18で最多。「60歳以上」は3。無回答が5あった。最も多い世帯構成は「ファミリー」だったが、14に留まった。「夫婦のみ」が5。4組合が「単身」と答えている。入退去の頻度は「頻繁な印象」が10。「少ない印象」は4に留まった。

外国人所有者への困り事についても尋ねたが「特に問題はない」とする回答が15で過半数を占めた(グラフ①参照【省略】)。5組合が「投資目的で居住していないため連絡が取れない」と答えた。

修繕積立金。まず1平方メートル当たりの月額は「100円超200円以下」が12で最多。「100円以下」「200円超300円以下」がそれぞれ5で続く。「300円超400円以下」1、「400円超」も1。

今後の積立金が足りているかについて「足りている」と答えたのは4組合止まり。「どちらかといえば足りている」8組合、「足りていない」は12組合だった。築年数では「築12年~21年」で回答のあった14組合中8組合が足りない、と答えた(グラフ②参照【省略】)。

積み立て方式は「段階増額」17、「均等積立」4。「一時金徴収」が2あった。14組合がこれまでに値上げを行ったことがある、と答えたが、築22年以上でも少なくとも2組合が値上げを行っていなかった(グラフ③参照【省略】)。

値上げした回数は「1回」が8、「2回」が3、「3回以上」が2、直近の増額割合は「21%~50%」「50%超」が、それぞれ4組合ずつあった。

以上、マンション管理新聞第1143号より。

 

「限界のタワーマンション」榊 順司著 集英社新書 に、興味深いことが書かれています。

以下、同著書より抜粋。

 

2037年、いくつかのタワーマンションが廃墟化する

 

国土交通省は2011年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」というものを発表した。

これによると20階以上のタワマンにおける修繕積立金の目安は月額にして平米あたり平均206円とされている。

先に上げた大規模修繕工事の「模範例」とされた約650戸のタワーマンションの場合、修繕積立金の平米単価は93円だった。206円の半分以下である。それでも何とか大規模修繕工事をやり終えた。しかし、積立金はその時点で一旦底をついた。

次回は2034年と予定されているが、現状のままで7億円足りないと予測されている。しかし、値上げの動きはまだ出ていないという。どうするのだろう。

すでにベランダやサッシュの雨漏りが年間数件ずつの割合で発生している。シーリング材の劣化が始まっている可能性がある。今は個別に対応しているが、2034年には予定通り二回目の大規模修繕工事を行った方が良さそうだ。しかし、そのためには修繕積立金の大幅な値上げを行う必要がある。

以下は、一般論として考える。

タワーマンションでシーリング材の劣化による雨漏りが始まった場合、それは宿命と捉えるべきだろう。特に潮風や塩分を含んだ雨が吹き付ける湾岸エリアのタワーマンションの場合、シーリング材の劣化は内陸部よりも早く進む可能性も考えられる。

その前提に立てば、タワマンにおける約15年サイクルの大規模修繕工事による外壁の補修は必須事項となる。

しかし、その費用は人件費の高騰などもあって今後ますます高騰することが予測できる。したがって2011年時点での国交省ガイドラインの平米平均単価206円では、すでに不足しているのではないかとさえ思える。

2022年前後には、多くのタワーマンションは1回目の大規模修繕工事を行うだろう。その15年後の2037年には容赦なく二回目を行う時期がくる。その時に、すべてのタワマンが外壁補修を伴う大規模修繕工事ができるだろうか。そこは全く楽観できない。

仮に費用面などで外壁補修をできないタワーマンションが出てきたとすれば、どうなるのか。当然、雨漏りが放置されると、居住性が悪化するばかりでない。カビなどが発生しやすくなり、健康面でも危険性が高まる。

当然、そういうタワマンからは引っ越していく人が多くなる。

また、雨漏りが放置された住戸には資産価値がなくなる。

さらにいえば、区分所有者の中には必要な外壁の補修工事がなされないことを理由に管理費や修繕積立金の支払いを拒む人もいるかもしれない。

それはすなわち、廃墟への道ではないか。

このままでは2037年前後に複数のタワーマンションが廃墟化するかもしれない。それは、今の状況が続く限り、かなり確実性が高い未来である。

それを防ぐには、修繕積立金を値上げして管理組合の修繕積立金勘定に余裕を持たせるしかなさそうだ。

こうしてタワマンションは、ますます維持管理コストが高い住まいになっていく。

 

しかし、これでもまだ、「うちのタワーマンションは大丈夫だろう」と高をくくっている人もいるだろう。そう安心してもいられない衝撃的なデータがある。2018年12月8日号の週刊東洋経済「マンションの絶望未来」という特集の中で、みなとみらい、横浜、武蔵小杉、月島、勝どき、品川、豊洲の六エリアのタワーマンションの修繕積立金の推計値を算出しているのだが、先に紹介した国交省のガイドラインに示された修繕積立金の下限値さえも下廻るタワマンが八割強であったという。

この章の冒頭でも示したように、何とか一回目の大規模修繕をクリアしたとしても、二回目、三回目は、そう簡単にはいかないかもしれない。ことによると、臨時徴収金をめぐって住民間の対立を招く可能性も高い。うまく合意形成できればいいが、規模が大きいほど、困難になることは間違いない。

このように大規模修繕の困難さや多額の費用負担を考えると、タワーマンションという住形態は果たして本当に効率的なのか、大きな疑問が生じてくる。むしろ、時間が経てば経つほど区分所有者に大きな負担を強いる時限爆弾のような住形態ではないだろうか。

デベロッパーは、そんなことなど一切考えていない。作って売って、儲かればいいのだ。売った後は基本的に区分所有者の責任。品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)で、新築であれば、引き渡しから10年を過ぎると、すべての保証を免れる。大規模修繕工事を辞退することも可能だ。

このような住形態であるタワーマンションとは、購入した人を本当に幸せにするのだろうか。

 

以上、「限界のタワーマンション」榊 淳司著 集英社刊より、抜粋。

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