『倒壊の危険性』4割超 耐震診断義務化建築物結果公表 未報告も5マンション 大阪市

投稿日:2019年04月19日 作成者:福井英樹 (1436 ヒット)

 大阪市は3月29日、耐震改修促進法に基づき、同市が所管する耐震診断義務化建築物の耐震診断結果と、耐震診断結果の未報告に対して行った報告命令の内容を公表した。昨年3月に大阪府と府内の所管行政庁10市は公表しているが、大阪市は今回が初めて。報告命令は14件に対して行われており、うち5件はマンションの管理組合だった。
 大阪市防災・耐震化計画グループによれば、耐震診断結果の報告対象の建築物は149件。分譲マンションは推定34件で、うち29件が報告した。
 未報告を含めた34件中、震度6強~7程度の大規模地震で倒壊・崩壊する危険性が高い「Ⅰ」と判定されたのは4割超の15件。倒壊・崩壊する危険性がある「Ⅱ」は13件。危険性が低い「Ⅲ」は1件にとどまった。建築物全体の報告件数は136。
 耐震改修促進法に基づき、市が未報告に対して報告命令を行ったのは14件。うちマンション管理組合は5件あった。命令は今年1月24日付。2020年3月31日までに耐震診断結果の報告を行うことを命じる内容で、命令後に用途が事務所・店舗の建築物1件が報告している。
 同グループによれば、当初の報告期限の16年12月31日が過ぎて以降、未報告に対しては「少なくても半年に一度は文書で指導していた」が、報告がないため報告命令の文書を郵送した。4月5日時点で管理組合からの報告はないとしている。
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 同市が公表した耐震診断結果を基に、分譲マンションと考えられる建築物の件数や評価の分類などを区ごとにまとめた(表省略)。マンションの階数、東西・南北方向、用途で評価が異なる場合、より危険性が高い方を採用している。未提出は市が報告命令を行った5件に当たる。
 分譲マンションとみられる建築物は市内24件中、9区にあった。
 最多は中央区の12件。うち5割超に当たる7件がⅠで、9区の中でも最も多い。未提出でも最多で2件。この2件は10階建ての40戸と8階建ての24戸で共に築39年だった。
 次に多いのが天王寺区の6件で、半数の3件がⅠだった。未提出の1件は12階建ての60戸で築40年。未提出5件中、階数と築年が最も大きい。
 報告対象が1件しかないのは東住吉・平野・西淀川だったが、西淀川区の1件は未提出。この1件は11階建ての95戸で築39年。未提出5件中で戸数が最も多かった。
東住吉区と平野区の各1件は共にⅡ。この2区に加え、北・福島・淀川区には未報告がなかった。
 Ⅲは東成区の1件だけだった。
 昨年本紙が調べた大阪府の所管分と府内所管行政庁10市では、耐震診断義務化対象の分譲マンションは24件とみられ、このうち15件がⅠだった。大阪市所管分を含めると対象の分譲マンションは58件程度に上り、同市の未報告5件を除けば、現時点でⅠは5割超の30件とみられる。
以上、マンション管理新聞第1102号より。

 
 


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