週刊東洋経済2018.12.08『「特集/マンション絶望未来」Interview 不動産の達人に聞く』より

投稿日:2019年02月18日 作成者:福井英樹 (1764 ヒット)

今年春頃に潮目が変わった スタイルアクト社長・不動産コンサルタント 沖 有人

 明らかにマンションの売れ行きが悪くなったと感じたのは今年春頃だ。首都圏の新築分譲マンションの販売総額(販売戸数×販売価格)が前年同月比で7%程度ガクッと下がった。
 マンション価格が毎年上昇していったので、購入できる人のパイが限られていった。開発が活発なホテルとの競合で、駅から近いマンション好適地を仕入れられなくなり、商品として魅力的な新築物件も少なくなった。そうして積もった歪みがついに売れ行きに影響したのが今年だった。デベロッパー各社は今後、新築物件の供給を絞らざるをえなくなる。
 富裕層が”億ション”を手放す動きも見られた。それを感じたのも今年春ごろだ。それまでは億ションの在庫はどこを探してもほとんど見つからないほどだったのに、今では在庫が積み上がっている状態だ。
 
 大手の値引き幅は限定的

 中堅以下のデベロッパーは値引きも行っているようで、この前などは5800万円の物件を4700万円まで値引きしたケースも見た。一方、大手の値引き幅は限定的である。体力のある大手は、値引きでイメージを悪くするよりも、供給数を絞り、じっくりと長く売る戦略を取るのではないか。
 消費者の物色対象は、新築から中古へとシフトしていくだろう。すでに戸数ベースでは中古マンションは新築を超えている。このままいけば2024年には、販売総額でも中古マンションが新築を抜くと予想している。

 

コスト高が新築物件の質に影響  ブロガー「マンションマニア」管理人 星 直人

 これまでに1000件ほど新築マンションを見て回った。マンションは時代が進むにつれて進化し続け、その様子を目にするのが楽しみだった。ところが、最近はその進化が滞っているように感じる。
 理由は、建築費の高騰を受けたコスト削減の動きが顕著であることだ。ディスポーザーがない、引き出しがソフトクローズでないといった設備面だけでなく、部屋も狭くなっており、低い天井高や玄関ドアを開けると廊下の通行人にぶつかる設計など、気づきにくい部分にも建築費上昇のシワ寄せが行っている。
 一昔前に建てられた中古マンションのほうがゆったりとして手が込んでいることも多く、新築であることぐらいしか強みがない物件も散見されるのは残念だ。他方で、楕円形をした湾岸エリアのとある高層マンションのように、デベロッパーによる工夫の跡が見られる物件は多少値が張っても顧客への訴求力がある。

 郊外でも”駅チカ”は人気

 ”駅チカ”物件の人気は根強く、たとえ郊外であってもよく売れている。たとえば、千葉県・津田沼のタワーマンションは周辺相場と比べ強気な価格だが、駅直結型なのが評価されて売れ行きは好調のようだ。神奈川県・海老名や千葉県・海浜幕張など、都心部でなくとも駅前の物件はいずれも売れている。急行停車駅か、複数路線が乗り入れているかなどの「駅力」が強ければ、近年購買層として台頭しているパワーカップルにも好まれる。

以上、週刊東洋経済特集/マンション絶望未来より。

 記事にあるように中古マンションでも一昔前までアルコーブのある物件が普通でしたが、最近の新築では、建築費の高騰により、コスト削減のため、昔の高経年マンションのようにアルコーブがないマンションが多く、玄関ドアをあけると廊下の通行人にぶつかり、部屋も狭く、天井も低く、設備面も手を抜いている物件が多いにもかかわらず、価格が異常に高く、新築であるということ以外のメリットはなさそうです。


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