オイルダンパーデーター改ざん 全国では265件 東京都内 住宅は59件 分譲マンション数は不明 公表は所有者の了解得て

投稿日:2018年10月31日 作成者:福井英樹 (341 ヒット)

 国土交通省は10月16日、油圧緩衝器などを生産するKYB・子会社のカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制震オイルダンパーについて、大臣認定などに適合しない製品が設営されていると報告があった、と発表した。不適合製品は共同住宅など全国987件に出荷されており、分譲マンションも含まれるとみられる。同省は「震度6強~7程度の地震で倒壊するおそれはない」としているが。KYBは不適合製品と疑いのある製品を、全て交換する方針を明らかにしている。
 免震用オイルダンパーは建物と地上をつなぐ支承材を補助する減衰材で、揺れを抑えると同時に地下階などに設けられた免震層の変形を防ぐ効果がある。減衰性能は大臣認定品では基準値から前後15%、顧客との契約では前後10%の差が認められており、この「許容値」から外れた場合、許容値内に入るまで製品を分解・調整する。
 ただ同社は調整などを行わず、許容値を超えた値を許容値内に収まるよう検査記録を書き換えて出荷。制震用オイルダンパーは大臣認定建築部材ではないが、顧客との契約における減衰性能の許容値は基準値から前後10%と決められており、これも許容値を外れた値を書き換えていた。
 今回不正のあったオイルダンパーが設置された987件中、住宅を含む52件には、塗料やピストンといった製品部材にも認定不適合材を用いた製品が設置されていた。さらにこの987件とは別に、113件で認定仕様と異なるパッキンを用いたオイルダンパーが設置されているという。同社によれば、出荷先は主に住宅。
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 同省によると987件中、265件が住宅。また東京都では16日現在、調査中も含め都内59件の住宅に不適合オイルダンパーが使われているとしている。国も都も分譲マンションの数は把握していないという。
 同社が19日公表した不適合製品出荷先70件には、民間建物と見られる物件はない。同社は「所有者の了解を得た物件から公表」するとしており、分譲マンションの公表は難しいと見られる。

 川金コアテックも   オイルダンパーデーター改ざん  全国で93件

 国土交通省は10月23日、光陽精機(本社茨城)が製造した一部の免震・制震オイルダンパーについて、顧客との契約における減衰性能基準値に適合しない製品があった、と発表した。検査データーを契約内容に適合する値になるように書き換えていたという。同省によれば、大臣認定不適合製品はない。
 KYBらによる同オイルダンパー検査データ改ざんを受け、光陽精機が社内調査を行ったところ不正が発覚。不適合製品が設置されている物件は全国93件あるとみられる。同省発表資料によると、免震用は住宅に出荷されていないが、制震用は10件出荷されている。

 以上マンション管理新聞第1086号より。

 制震工法や免震工法によって揺れを半分程度にすれば耐震性が増し、建物が危険になる震度を1程度上げることができるといわれています。しかしながら、各種工法によって、長所と短所があり、対応できる限界がどの程度かは工法によって異なり、加速度を減らすことはできても、変位や速度が増加することがあります。
 揺れの速度を抑えることができても振幅が大きいと、小さな震度でもエレベーターは止まります。加速度が大きいと、室内の家具や人の揺られ方が増加し、30~40cm/secを超えると危険です。建物の揺れを減らす工法を採用している建物は、家具の移動・転倒は少なくなり、住戸内の住人の安全性を高めますが、工法によっては必ずしも家具等の移動・転倒が少なくなるとは限りません。そもそも、免震・制震工法の建物であることだけで安心することはできないようです。
 上記の記事で、国土交通省が震度6強~7程度の地震で倒壊するおそれはないとしていますが、耐震強度を引出す構造計算プログラムが100種類以上もあり、計算方法自体も何種類もあり、数値が変化するようで、実際の話、震度6強~7程度の揺れで倒れるかどうかは地震が起きてみなければわからないようです。
 あのヒューザーの耐震偽装事件が発覚した2005年に千葉県北西部を震源とする地震が発生した際に、東京都の足立区で震度5強を観測したが、付近のヒューザー物件に特段の被害はなかったといわれています。さらに、JRで1200本の電車が運休し、エレベーターの閉じ込め事件が78件も出ており、それでも当時、数ヶ月後に「使用禁止命令」が出された当該偽装マンションは普通に何事もなかったように平然と建っていたそうです。
 とはいいながらも、偽装が発覚し、表面化した以上は、行政や建設業界は手をこまぬいてはおられず、当時のマスコミも大騒ぎをしていたことが記憶に新しいですね。

以下、東洋経済2018年12月8日号より関連抜粋記事。

 免震・制震偽装 KYB問題の意外な余波 タワマン建設が止まる?
 
 油圧機器メーカーのKYBと川金コアテックの免震・制震用オイルダンパーに関して、検査データーの改ざんが発覚してからはや1ヶ月。改ざんの有無が不明の製品も合わせると総数は1万本以上にも上り、再検査や正規品との交換は遅々として進まない。
 渦中の2社は問題解決を優先するとして、新規のオイルダンパー受注を事実上停止した。ところが、これが新たな「動揺」を引き起こすこととなる。「オイルダンパーが供給されず、タワーマンション(タワマン)の着工が停滞するおそれがある」(東京カンテイの高橋雅之主任研究員)ためだ。
 KYBによれば、2018年3月末時点での免震・制振用オイルダンパーの国内シェアは45%。川金コアテックはシェアを公表していないものの、両社を合わせれば過半数を占めるのは間違いない。対して新築タワマンへの免震・制振装置の搭載率は右肩上がり。最高階が40階以上の物件に限れば、10年以降に供給された物件の約9割にも達する。免震・制振装置がタワマンの標準装置となりつつある中、ダンパーの供給懸念は、今後の竣工計画を狂わせかねない。
 ゼネコンはすでに危機感を募らせている。「施工中のタワマンでKYB製のオイルダンパーを使う予定だった。代替調達先の確保を最優先に行っている」(大手ゼネコン幹部)。免震・制振ダンパーはオイルダンパーに限らず、金属を変形させる過程で揺れのエネルギーを吸収する鋼材ダンパーなども存在するが、「わずかな揺れにも敏感に反応できるオイルダンパーはマンションに適している」(別の大手ゼネコン幹部)という。
 調達先の変更も一筋縄ではいかないようだ。あるダンパーメーカーは「デベロッパーを含め、代替品供給の相談をかなりの量受けている。どこまで増産ができるのか検討中」だが、大手2社が占めている過半のシェアを埋め合わせるのは困難だ。業界3位級の日立オートモティブシステムズは、オイルダンパーの製造拠点を神奈川県から福島県に移管中で、生産能力を通常よりも落としているところだ。「19年度中にも移管を終える予定だが、その後の生産回復については検討中」と話す。
 制振専門のダンパーメーカーも存在するが、「免震がダメだから制振、という簡単な話ではない」(別のメーカー)。地下に専用の空間を設ける免震と、建物内部に装置を埋め込む制振とでは、構造がまるで異なるからだ。
 仮に代替品の調達先が見つかっても、実績の乏しいメーカーの製品は大丈夫か、という懸念が頭をもたげる。「オイルダンパーの見積もりを取るのは、KYBと川金の2社だけだった。川金でさえ「大丈夫なのか」という声が上がったくらいだ」(準大手ゼネコン)幹部。無名メーカーのダンパーを採用して不具合が生じれば、責任が飛び火しかねないため、ゼネコン各社は慎重姿勢を崩さない。
 他方、不動産デベロッパー側の危機感は薄い。ある大手デベロッパーの首脳は「問題が発覚した2社以外から調達すれば大丈夫」といささか楽観的だ。「免震・制振装置がなくても建築確認は取れる」とも強弁するが、「震度6強から7程度の地震で倒壊するおそれはない」と第三者機関からのお墨付きを得た不適合製品にさえ不安の声が上がる中、免震・制振装置のないタワマンではお客への訴求力は薄れる。
 新築にまで手が回らない 浮かぶ「手打ち」シナリオ
 デベロッパーの本音は問題なしというより、「手が回らない」のが実情のようだ。「正直、既存物件への対応で手いっぱいだ。新築は議題にすら挙がっていない」と別の大手デベロッパー幹部はこぼす。国土交通省も「オイルダンパーを用いない工法の周知などを検討しているが、今は業界へのヒヤリング中」(建築指導課)と、抜本的な解決策には至っていない。
 KYBは新規受注の停止が少なくとも20年9月まで続くとした。2年近い供給途絶は、タワマンを収益柱としてきたデベロッパーの業績にも痛手となりかねない。「一番は安全が確認でき次第、KYBのものを使い続けること」(大手ゼネコン幹部)など、みそぎを済ませて早期解決を待ち望む声も聞こえる。全製品の点検は現実的に不可能であり、どこかで「手打ち」を模索する動きが出てくるかもしれない。(東洋経済:一井純)
 


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