ゲリラ豪雨 もう怖くない 5年前に冠水被害 ハード・ソフトで対策 管理会社任せにせず 止水板は住民が設置 千石明穂ハイツ

投稿日:2018年07月19日 作成者:福井英樹 (2303 ヒット)

 「ゲリラ豪雨」、もう怖くないー。東京都文京区の「千石明穂ハイツ」(築38年、46戸+店舗4)は2013年8月の集中豪雨で1階住戸が冠水し、エレベーターが故障する被害にあった。もともと低地に立地し、区の水害ハザードマップでも1.0~2.0メートルの浸水予想区域に指定されていたが、被害を防げなかった。この事故を教訓にした管理組合は、いざというときは住民が動き、管理会社任せにしない水害対策に取り組んでいる。

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 マンションは新築1年目の1980年にも水害被害に遭っている。古くからの住民によれば、冠水するほどの被害はこれ以来だった。新築1年目の事故後、分譲業者が止水板を設置するなどの対応を施したが、5年前のゲリラ豪雨では管理員が止水板を保管する場所のカギを持ったまま帰宅。結局止水板は設置できず、結果的に住戸への冠水や設備の故障を招く結果になった。
 この事故で、管理組合はゲリラ豪雨対策に取り組む必要性を痛感。緊急事態に全く対応できなかった管理会社を変更するきっかけにもなった。

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 事故から約7カ月後の14年4月、新しい管理会社として業務を開始したのはビルセンター(本社東京、小野塚省吾社長)。
 同社がマンションのゲリラ豪雨対策に果たした役割は小さくない。ごみ置き場横への新たな止水板設置や冠水で故障したエレベーターの交換提案を皮切りに、地元消防署・警備会社と連携した防災訓練を開き、止水板の取り付け訓練を実施した。
 冠水対策として、東京都にマンション前面の都道地下に排水升を増設してほしい、とする要望も行った。都も増設に応じ、マンションだけではなく、地域公共インフラの底上げを実現させている。
 その後管理組合は、天気予報などで集中豪雨の危険があるときは管理会社・防災担当理事・管理組合理事長が連絡を取り合い、管理会社スタッフか自宅にいる住民が止水板を設置するようにした。現在は、止水板を設置する役割は住民が担っている。
 管理組合理事長の後藤重久さんは「年に10回くらいは設置していますよ」と説明する。止水板は意外に重く、「女性一人で取り付けるのは無理」(後藤さん)。だが「ゲリラ豪雨で住民の結束が高まった。管理会社任せにはしない」と語る。
 管理組合の意識は水害だけでなく、防災全体にも向き始めた。今年3月には、マンション内で正式に自主防災組織が発足、総合的な防災対策に取り組んでいる。

以上。マンション管理新聞第1077号より抜粋。

 ゲリラ豪雨だけでなく、東京湾、伊勢湾、大阪湾の三大湾の周辺にはゼロメートル地帯が広がっています。ゼロメートル地帯とは、大正から昭和にかけて行われた大量の地下水のくみ上げなどによって地盤が沈下し、満潮面水位より低くなった地域です。ゲリラ豪雨時の洪水、台風時の高潮、地震津波の被害の恐れが非常に高くなっている地域です。また、地下水位の高い埋め立て地や河口周辺などの砂質地盤では、地震動により、地盤が液状化するおそれもあります。
 東南海地震や南海地震が起こると、大阪や名古屋を含む太平洋岸一帯に津波が襲ってきます。
 被害を最小に防ぐには、自分のマンションが立地する地域の特徴を知っておくことです。また、地震被害の状況を知るには、国や地方公共団体が出している地震ハザードマップを活用することをお勧めします。当該記事にもあるように自分の住んでいるマンションの場所が、津波・水害による被害への注意が特に必要な地域であるかは事前に知っておく必要があります。
 当該管理組合のように、管理組合が一丸となって、主体性を持って、防災対策に取り組む必要性を改めて痛感いたします。
  


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