最近の不適切コンサル等の相談から派生して、ハード面での瑕疵等の損害賠償責任追及の具体的方法について    福井英樹マンション管理士総合事務所

投稿日:2018年01月17日 作成者:福井英樹 (1973 ヒット)

今、巷を騒がせている不適切コンサルの相談に派生して、当該バックマージン等の不透明な金銭の利益相反の問題とは別に、ハード面での竣工図面と実際の建物とのかい離についての相談を受けました。
一般的に、欠陥は、設計瑕疵と施工瑕疵にわけられ、設計瑕疵は設計自体が建築基準法に違反しているような場合で、構造計算書偽造による耐震強度偽装事件等、記憶に新しいところです。また、地盤の強度等を勘違いでとらえ、必要な地盤改良を不要とする設計をしていた錯誤のような場合も設計瑕疵となります。
施工瑕疵は、設計図書通りの施工が実施されていないケースです。
そもそも分譲にあたっては、大半の分譲業者が「アフターサービス基準書」を示しており、これは所定の不都合が生じた場合に、分譲業者が無償で補修を実施する基準を定めたもので、欠陥や瑕疵に該当するか等を問題にする必要がなく、契約上の責任であり、その対象や期間等も様々です。
一般に、隠れた瑕疵があれば、売主に対し、民法第566条や第570条に基づき、瑕疵担保責任を追及することができます。また、「住宅瑕疵担保責任保険」に加入している場合は、当該分譲業者が万が一、倒産していても、保険法人に対して直接に費用を請求できます。
なお、民法上の瑕疵担保責任は、瑕疵を知った時から1年とされていますが、一方、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では、「構造耐力上主要な部分」または「雨水の侵入を防止する部分」として政令で定めるものの瑕疵については10年間瑕疵担保責任を負うものとされています。
さらに、もともと、建設会社や建築士等は、故意による手抜き工事でなくても、基本的な安全性を損なう瑕疵等が発見された場合には、原則として、不法責任を負う無過失責任となっています。そして、当該不法行為による損害賠償請求権は、当該損害ならびに加害者を知った時から3年間で民法第724条により時効消滅しますので、内容証明便等で相手方に意思表示を明確にしておくだけでなく、訴訟を提起するなど、裁判上の請求をする必要があると一般的にはいわれています。しかしながら、実際上は、欠陥の存在を知って、販売会社に請求すれば、この期間制限は問題にならない場合が多いと思われます。ただ、時効が目前に迫っているような場合には、請求の事実を明確にするという意味でも請求の事実を公にしておくという意味では内容証明郵便は最低限必要だと思われます。
そもそも瑕疵担保責任とは、それぞれ性質の異なった責任であり、全ての欠陥マンションに同じように当てはまることはなく、どのような責任追及が可能なのか弁護士等の専門家に相談する必要があるかと思われます。


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